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人前で注目を浴びながら話すことは、苦手ではなかった。だが、入学式のために中学に登校したと思ったら、突然教師に呼び出されて、あれよあれよという間にここに連れてこられてきた。大人しく従ってきたが、納得はいっていない。大人たちの都合で勝手に振り回されているだけだ。
反抗心がうまれる。大雅は膨れっ面を隠そうともせず、そっぽを向いた。
「はははっ、緊張してるのかな」
結果的に大雅の名前は、山本から少年たちに告げられた。「じゃあ、仲良くな」と山本が大雅の肩を叩くと、さっきの眉なし少年が大雅の腕を掴んで引っ張ってきた。
「おれ、柳井晃牙。おまえとタメみたいだわ。よろしくなっ!」
タイガとコウガ。よく似た名前の二人は、やがてこの一時保護所という狭い世界の中で、その場限りの友情を育んでいくのであった。
一時保護所では、他の子供たちとここに来た理由を言い合うのは御法度と、大人たちは言っていたが、情報の共有は支援員の目を盗んで、忍びやかに行われているようだった。
「おれ、家に帰らずに毎日ぶらぶらしてたら、親がいつの間にかココに相談してたみたいで、小学校の卒業前にぶち込まれた」
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