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晃牙は、自分の境遇を簡単に教えてくれた。学校にも馴染めず、クラスで浮いていたという彼は、自分の居場所を求めて町を徘徊するようになったらしい。万引き、喫煙、原付の二人乗り、喧嘩……。まだ小学生だったというのに、非行の限りを尽くしたという。
喧嘩っ早い彼は、保護所内にいる上級生たちと度々ぶつかっていて、支援員たちの手を焼かせていた。
「おまえはなんでココに来たんだ?」
おれが話してやったんだから、おまえも教えてくれよと言いたげな表情で、晃牙が尋ねてきた。
大雅は言葉に詰まった。晃牙に比べて、自分がここにきたのはおそらく、両親の虐待が原因だ。だけどそれを口にしてしまうと、自分がひどく惨めで弱い人間だと、男のくせに情けないやつだと思われやしないかと考えたのだ。
「……オレも、似たような感じ……」
「ヘヘッ、じゃあ、おれたち似たもの同士だなっ!」
互いの共通点を見つけて、晃牙は嬉しそうにそう言った。大雅は目を伏せたまま、それ以上はなにも言えなかった。
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