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ニャ天使の羽根は、ふわもふの毛並みに隠してあるので。
背中をなでる時はお気を付けください。
もし嫌がる素振りを見せたら。
それは羽根を畳んで隠している途中。
折れたり壊れたりしないように。
きちんと隠すまで少々お待ちくださいませ。
「まる子ぉ。抱っこさせてえやあ」
飼い主にぎゅううっと抱きしめられ、頬を摺り寄せられる。
「あーん。まる子は真っ白ふわふわで気持ちエエわあ。
ほんまにこんな可愛いコ、他に居らんわあ」
ちょっと力が強くて。
困ったにゃあ、とまる子は思ったけれど。
寄せられる頬からは涙の匂いがしたので。
我慢して「んにゃ」と。なるべく優しい声で応えた。
それから30分ほど。
飼い主は柔らかさと温かさを味わって。
涙の原因となる寂しさをナントカ溶かして。
やっとまる子を解放した。
次の日、まる子はキャリーに入れられて。
動物病院の待合室に居た。
「まるこー。久しぶり。どないしたん?」
すぐ近くに置かれたキャリーから、サバトラ猫が声を掛ける。
「ちょっとお腹がゆるくって。
たぶん整腸剤を処方されると思う」
「ああ。粉のヤツな。苦くない薬やからエエやんな。
またアレか?
飼い主さん、旦那の浮気で落ち込みよって。
カナシサとかサミシサとか、代わりに飲んでやったんか?
腹壊すほど飲まんでもエエやろに」
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