一話 吸血鬼

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※ きっかけはなんだったのだろう。 今となっては忘れてしまった。 だけどひしゃげた風景から滴るあの色。 赤、赤、赤。 血の色だ。 その色だけを覚えている。 変わってしまったのは、あの日だろう。 気がつくと病院だった。 事故に遭ったことを告げられた。 生き残ったのは自分と弟だけで目を覚ましたのは奇跡だと言われた。 一時は心臓が止まっていたほどだったという。 だけど本当は目を覚さないほうがよかったのかもしれない。 死者が息を吹き返せばそれは化け物と呼ばれるものでしかないのだから。
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