君といっしょに

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君といっしょに

「帰ってきましたよ店長。」 「おかえりなさい!ラファさん、常連のお客さん出来たんですよ」 「え、そうなの?やったじゃん!」 狭い狭い田舎に帰ってきた。 不思議と前より狭く感じない。人が多くていろいろな自由な生き方をしている場所を知ったからかもしれない。私はあそこじゃなくあえてここを選んでいるんだ。 そう思えたから。 「ラファ、どうだった?都会は。てか連絡来たんだけど中瀬と会ったんだってね。」 「そうです。いろいろ聞きたいことがいっぱいありますよ。」 「あはは。そうね。やっぱりラファは人と会う運を持ってるよね。あなたのそういうところに私みたいなのが吸い寄せられてるんだよ。」 驚いた。私はまったく同じことをかおり先輩に感じていたから。 あなたの存在に私がいつも吸い寄せられている気がしていたから。 「あの今更ですけど、先輩っていつから私のこと認識してました?」 あははと笑って私は聞く。先輩も楽しそうににこにこ笑った。 「いつからだったけなぁ、中学入ってからすぐかなあ。」 「えそんなに早かったですか?」 「うん。そりゃそうだよ。分かるよ私のことあんなにきらきらした瞳で見てくるんだもん。」 「えぇ?」 その時私が見てたのはあなたの隣の人のはずですけど? 「2人ってやっぱり昔から仲良かったんですか?お互いがお互い唯一無二って感じですもんね。」 様子を見ていたカムエルが言う。 「それはない。」 「そんなことはなかったよね。」 だって話したこと無かったし。 なにせこの人は私の王子様をいつも奪っていく存在だったから。 「でも私たちは運命で結ばれてるからね。」 そう言って先輩は私に微笑む。 そういう話をしたことは無かったけど、やっぱり先輩も感じていた。私たちは何かの縁で切っても切っても繋がる縁で結ばれているって。 「いらっしゃいませー。あ、山田さんまた来てくれたんですね!」 うわさの常連のお客さんだろうか。カムエルが駆け寄っていく。 先輩もにこにこと接客をはじめる。 私の王子様をことごとくかっさらっていくお姫様はこうやって私を選んでくれている。 楽しそうな先輩を見て思う。 信じきれない王子様よりこれからも私を選び続けてくれたらいい。 私ならどんなに離れたって運命っていう糸で繋がっているでしょう。 どうせ私の人生はこの人と生きるために用意されているんだから。 その後この店は、キャストの女の子が仲が良く、行くと安心するという理由で繁盛することになる。 私たちの出会いの末に生まれたようなこの店のことを私はずっと大切に思うんだろう。長い人生の中で今の若いうちだけしか居られない場所だとしてもこの先の人生ではずっとこの人と繋がって生きていく。長い長い私の人生をより面白くしてくれるこの人とこれからもゆっくり生きていこうと思う。
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