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「なんだよ、寝ねぇの?」
洗面所から出てこないあたしを不思議に思い、振り返る薫くん。
あたしは、にっこり笑顔を見せて、告げる。
「今日はもう少し、スキンケア頑張りたいから先にベッドで待っててください?すぐに行きます」
「…ここで待ってるけど?」
「乙女の裏側は企業秘密ですよ、薫くん?」
「あーそー?なら、早くしろよ?」
ちゅっ、と触れるだけの口付けをあたしに送って薫くんは寝室へ向かった。
扉が完全に閉まるのを脱衣場の入り口から 確認して急いで棚の中に隠してあるピンクの袋を取り出し、パジャマを脱いでそれを身に付ける。
実はこれ、天音と麗とお揃いでつい最近買ったものなんだけど、こんなに早く使う事になるとは。
あたしはあんまり抵抗ないけど、あの二人はかなり嫌がってたな。
二人とも、スタイル良いし何も気にしないでいいのに、何が嫌だったんだろう?
あっ、いけない!今はそんな事考えてる場合じゃないんだった!
パジャマを元通りに着て、脱衣場の鏡の前に立つ自分と目が合う。
にやり、と悪どい笑みを浮かべるあたし。
…こんな顔は薫くんには見せられないな。
だって、薫くんの前でのあたしは、可愛い乙女なんだから。
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