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木漏れ日が差し込む森の中。
俺と同じ高校生ぐらいで黒髪のポニーテールの女の子が、突然俺の目の前で一粒の涙を流した。
「ねえ、忘れないで」
彼女は手を伸ばす。
俺に差し出したシルバー色の四葉のブレスレットは、彼女が左手首につけているものと同じだった。
「思い出して、私にはあなたが……!」
彼女は俺に向かって声を荒らげる。でも。
ジジジ、ジジジ。
不可解な音が彼女の会話をかき消す。
「……琉生、アヤカが待ってるんだ」
目の前の彼女ではない、誰かの声がした。
ーー気が付くと、琉生は自分の部屋のベッドにいた。
真っ白な天井を見つめてしまってから顔を横に向けると、窓の外には青空が広がっている。
時計を見ると時刻は朝の七時。
気が付くと黒猫のソルが近くで眠っていた。
「アヤカって……誰?」
夢の中の出来事を呟いた時、ソルがうっすらと目を開けて、そっと俺を見た。
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