アフターエフェクト

2/2
前へ
/12ページ
次へ
 木漏れ日が差し込む森の中。  俺と同じ高校生ぐらいで黒髪のポニーテールの女の子が、突然俺の目の前で一粒の涙を流した。 「ねえ、忘れないで」  彼女は手を伸ばす。  俺に差し出したシルバー色の四葉のブレスレットは、彼女が左手首につけているものと同じだった。 「思い出して、私にはあなたが……!」  彼女は俺に向かって声を荒らげる。でも。  ジジジ、ジジジ。  不可解な音が彼女の会話をかき消す。 「……琉生、アヤカが待ってるんだ」  目の前の彼女ではない、誰かの声がした。  ーー気が付くと、琉生は自分の部屋のベッドにいた。  真っ白な天井を見つめてしまってから顔を横に向けると、窓の外には青空が広がっている。  時計を見ると時刻は朝の七時。  気が付くと黒猫のソルが近くで眠っていた。 「アヤカって……誰?」  夢の中の出来事を呟いた時、ソルがうっすらと目を開けて、そっと俺を見た。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加