怖くて冷たくて厳しくて ──骨休め外伝 参──

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「今日から新人の子が入ってくるからみんな優しく迎えてあげるのよ」  看護師長さんが朝礼の席で私たちに促した。 「新人さんね……」  私はため息を吐いた。私の名前は景子(けいこ)。私が言うのもなんだけど目鼻立ちが整っていて顔のパーツのバランスがいい。肌も透き通るほど白く綺麗でスタイルもいい。いわゆる美人なのだ。私が言うのもなんだけど……。でも誰も相手にしてくれない。近より難いのかみんな無視する。たまに目が合う子もいるんだけど私の目力が強いせいか目線を逸らす。患者さんもそうだ。  確かに私は自分にも相手にも厳しい。でも叱るのは相手を思ってのことだ。 「私、でしゃばらないようにしようかしら」  しかし我ながら無理だと思う。 「でもこれも患者さんや新人さんのためだから……」  私は決意を新たにした。 「私が新入りの頃は分からないことだらけで思い悩んだけど厳しく優しい先輩方がいたからだ……さぁ、どんな子が来るんだろう?」  私はここに来た頃のことを思い出していた。
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