この手を離さないで~天使が紡ぐ赤い糸~

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・・・・・・・・・・・・・・・・ リビングに戻るとアイリーンが嬉しそうに言った 「今夜は(こたつ)で寝てもいい?」 沙羅はこみ上げてくる感情をぐっと抑えた この子にできるだけ良くしてあげたい 「あなたがそうしたいなら まずお風呂に入らなくちゃね さぁ湧いてるから一緒に入りましょう 入浴剤を選ばせてあげる」 沙羅の横で少女は楽し気にスキップした 「はぁ~い 」 案の定少女は何日も入浴させてもらえていなかったのだろう彼女の髪は一度シャンプーしただけでは 泡立たなかった この子を綺麗にするには根気がいるわ・・・ 沙羅は何度もシャンプーとボディーソープ を塗りつけて格闘し アイリーンを隅から隅まで洗い清潔にした アイリーンはとても大人しく 沙羅の言う事を聞いた 「いいにお~いい・・・・ アイリーンのかみサラサラだぁ~ 」 「その服洗っちゃうから 少しの間大きいけど私のスウェットを着ていてね」 「沙羅のおうちはどこも綺麗で良い匂いがする・・・アイリーン沙羅のおうち大好き」 ブカブカのスエットを着ながら アイリーンが微笑む 「気に入ってもらって嬉しいわ さぁ大晦日の晩御飯を作りましょう カニ鍋の用意をして朝仕込んでいたの 12時前には年越しそばをそのお出汁で 食べるのよ おせちもつくらなきゃね」 「かになべってなぁに? 」 沙羅は笑った 「説明するのは難しいわ でも食べてみればわかるわよ とってもおいしいから  」 「アイリーンお手伝いする~~」 沙羅に言われたとおりにアイリーンは コタツのテーブルにお箸やらコップやらを並べ始めた   こんなに手がかからない良い子なのに この子に暴力をふるっている男が そこらへんをウロついているなんて・・・ 沙羅は思わず背筋を伸ばした 少しして二人はコタツの上のカセットコンロの上で沸々と煮えているカニ鍋を堪能した 「おいしいっ!!こんなの初めて食べた」 「良かったわね今夜うちに来れて いつもはこんな豪勢じゃないのよ 」 アイリーンの食べっぷりにクスクス笑いながら 沙羅はふと一人で寂しい大晦日を迎える自分に せめて食事は豪華にしようと用意していた事を思い出した 豪華にしていてよかった 「ほら・・・熱いからフーフーしてね」 「フー!フー! ああっ・・・これがカニ? 美味しい~~     」 カニだけじゃ栄養バランスが悪いだろうと アイリーンの呑水にしいたけや春菊も入れる アイリーンは構わずなんでも パクパク食べた
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