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「最後は雑炊にしましょうね 」
「それもおいしそう!アイリーン全部食べる」
不意にこの子のおかげで幸せになれている自分がいた。本来なら寂しい大晦日を過ごしているはずなのに
この子の美味しいものを食べて幸せそうな顔を見ているとなぜか心が温かくなる
そしていつもは仕事から帰ると必ず
晩酌にビールやウィスキーを飲む沙羅は
今夜はなぜかお酒を飲む気にはならなかった
凶悪犯がそこらへんをウロついている
万が一の時のためにシラフでいなければ
いけないという危機感はもちろんあるものの
アイリーンの顔を見ていると
なぜか自然とお酒はいらなかった
二人が鍋を綺麗に平らげてハーゲンダッツの
アイスクリームを分け合って食べ始めた時
玄関のチャイムが鳴った
その瞬間アイリーンがハーゲンダッツを
床に落とし、少女の目に恐怖の色が浮かんだ
「ス・・・・スンガンかもしれないっっ!
アイリーンを捕まえに来たんだ!! 」
沙羅はアイリーンが落としたハーゲンダッツを拾うとアイリーンはコタツの反対側に潜り込み
ソファーにしがみ付いた
「いや!行きたくない!
スンガンと行くのはいやっ!!」
アイリーンの恐怖心をなだめるために沙羅は
少女を抱きしめた
「私のお友達の尚子とその旦那さんかもしれないわ、来るって言ってたから 」
今夜は警察は来るのは無理だろう
すぐ近所の友人夫婦が来るのはわかっているけど
こんなに早く来るのはおかしいような気もしていた
そうするとアイリーンを虐待した
人でなしがここまで追いかけてきたのかもしれない
沙羅はアイリーンを二階の寝室の
クローゼットの中に連れて行った
「二度とあなたに酷い事をさせないわ
でも誰が来たか確かめてくるから
あなたはここで隠れていて
私がいいって言うまで出てきちゃダメよ」
「わ・・・・わかった・・・・ 」
今度ばかりはアイリーンも沙羅については行こうとしなかった
沙羅はドキドキしながら本能が働いたのか、すぐには玄関に行こうとせず、父の残したままの書斎に入って、木製のバットを握った
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