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沙羅はこの出来事を真剣に受け止めて考えた
これは子供のごっこ遊びや大げさな話ではない
少女の話は真実なのだ
「大丈夫よ私に任せて
二度とスンガンとやらをあなたに近づかせないわ
私を信じてくれる? 」
返事の代わりにギュっとアイリーンが
沙羅の首にしがみついてきた
「さぁ ここはあったかくて
気持ち良いでしょう?
私の家気に入った? 」
「うん 」
「晩ご飯を作りましょうね
ちょっとその前に別の部屋で
電話をかけてくるから待ってて」
「行かないで!!」
アイリーンは慌てふためいて
また沙羅にしがみついた
遅ればせながら沙羅は自分のした過ちに
気づいた
今この子を一人にするのはダメだ
沙羅はテレビのリモコンのスイッチを押した
「どうして壁の絵が動いているの?」
父が気に入っていた56インチの壁かけテレビを
見てアイリーンが衝撃を受けていた
「これはテレビと言うのよ ほら
ポテトチップスとポッキーもあるわよ
ちょっとこれ食べてテレビを見ててね
晩御飯を作るから 」
ネットフリックスのアニメチャンネルに
切り替える
父が生前休みの日は
フローリングソファーに寝転んで
コタツに入りお菓子を食べながら
一日中父のお気に入りのテレビを見ていた
この心地よさには誰にも勝てないのを
沙羅は知っている
このソファーは人をダメにする
アイリーンがコタツに入って
アニメに夢中になっているのを見届けてから
沙羅はキッチンへ行きスマートフォンを取り出し
警察署の電話番号を押した
そして今しがた体験した信じられない
緊急事態を警察に詳しく話し
少女を自宅で保護していると告げた
しかし警察は別の緊急事態に襲われていた
どうやらこの吹雪で幹線道路のあちこち
で交通事故が多発し現場は地獄化してるようだった
もちろん署の警察官も救急隊員も総動員し
署は誰もいない状態で
さらに道路はあちこちで
閉鎖作業が行われているらしく
今は人手が足りないため
入手した情報を県本部に伝えると同時に
明日か明後日に事情聴取に
なるべく早く向かうとのことだった
県の中心地にある病院に連れて行くにも
道は閉鎖されてる
こんな遠隔地でこの吹雪では警察も遭難に会う勢いだ
沙羅は最善の策として自分がアイリーンを
この家で2~3日保護して
世話してやることに決めた
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