4.ドールの嘆き

7/8
前へ
/78ページ
次へ
「結局、僕たちは付き合ってるのでと 嘘をついて先輩から免れることができた。 でも仲良くなり過ぎてセフレになった」 「とりあえず、事情はわかった‥‥ わかったけど、何故僕に近づいてきた? そのまま付き合っちゃえばよかったのに」 僕の言葉を聞いた川瀬は苦笑いし、 佐橋が天を仰ぐ。 「そうならなかった理由は俺たちも知りたい」 「どういうこと?」 「中2の秋からセフレになって、親友やって。 恋愛感情は自覚できないけど、一緒にいて すごく心地良くて。悪くないね、そうだね って佐橋と言い合ってたのに‥‥ 2月に状況が変わった」 「2月?!」 「俺たち、葵と入試の教室が一緒で。 一目惚れしたんだ、佐橋も俺も。 あの子は何者だ?って話し合った。 今まで自覚できなかった恋愛感情が 芽生えたんだ。ここが第一志望かな、 また会えるかなって。そしたら、 同じクラスの出席番号が見事に並んだ。 ◯ンドームを落としたのはたまたま だけど、テンション上がったからかも 知れない」 「そうだったんだ‥‥」 彼らの告白にときめいていた。 僕だって恋しているんだと伝えたかった。 でも次の佐橋の言葉で、 その気持ちは瞬時に凍りついた。
/78ページ

最初のコメントを投稿しよう!

23人が本棚に入れています
本棚に追加