5.「大好き」ではなくて、

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肉じゃがをおかずに夕食を済ませ、 1時間ほど母とテレビを観ていたら 川瀬から電話が来た。 「お友達?」 「うん、ちょっとごめんね」 席を立ち、自室へ移動しながら スマホの画面の中の応答ボタンを押した。 「もしもし」 『あ、こんばんは。葵、何してた?』 「自宅で母とテレビ観てた。今は自分の 部屋に移動したよ」 『そうか』 「どうしたの、何か用?」 『うん』 「え、何」 ベッドに腰掛け、川瀬の言葉を待つ。 『昼休みの話、葵はどう思った?』 「ああ‥‥」 今度は僕が言葉を濁す番。 電話の向こうで 川瀬が小さく息を吐いたのがわかった。
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