23人が本棚に入れています
本棚に追加
わずかな沈黙の後、言葉を選びながら
僕は話し始めた。
「川瀬が言ってたことは本当なんだろうけど
佐橋はちょっと違う認識なのかなって。
お互いに恋愛感情がないんじゃない、
川瀬に恋愛感情がないのを佐橋は気づいてて
僕に一目惚れしたと言った川瀬に合わせた。
そんな気がした」
『ん‥‥』
「当たってる?」
『うん、佐橋には確認してないけど、
たぶんそうなんだと思う』
「川瀬は佐橋を好きになれなかった?」
『かわいくて魅力的な奴だとは思ってる。
何度も抱き合ってるし、大切な存在だよ。
でも何というか‥‥佐橋の熱が高すぎて』
「なるほどね」
『あいつ、俺の言うことを何でも聞くんだ。
それがまたプレッシャーでさ』
「うん」
『葵は、少しでも俺たちを好きになった?
それともこんな訳のわからない奴らには
関わりたくない?』
「川瀬」
『ん?』
「僕は、川瀬も佐橋も大好きだよ?」
と答えたら、川瀬の息を呑む音がした。
最初のコメントを投稿しよう!