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そこから会話せず淡々と支度して、刹那と一緒に朝ごはんを食べてから学校に向かった。中学校は快がいなくなったという事実以外何も変わらない。
変わらないからつらくて苦しい。早く卒業したいなぁ、ここ最近ずっとそう考えながら日々を過ごしてる。
ネガティブなことを考えたせいもあって、その日はとても長く感じた。
「永遠、おかえり」
「え……お兄ちゃん」
学校から帰ったら、なんとお兄ちゃんがまだ家にいた。ソファに座って、膝にノワールを乗せてカップを片手に優雅にコーヒーを飲んでいる。
「ふふ、いい休日になった?」
「ああ、ありがとう永遠。久々にゆっくり休めた」
空いた手でノワールをなでるお兄ちゃんは、ここに来た時よりやわらかい表情になってる。リラックスできたみたいでよかった。
私もカップにコーヒーを注いで、お兄ちゃんと束の間のティータイムを楽しんだ。
「学校どうだ?」
「ふふ、お父さんみたいなこと言うね。
楽しいよ、もうすぐ卒業なのがさみしい」
「高校受験もうすぐだっけ?まあ、永遠なら大丈夫と思う」
「うん、この前模試がいい結果だったからこのままいけば大丈夫と思う。唯も同じ高校行けるように勉強頑張るって言ってた」
「一緒の高校行けたらいいな」
笑いながお兄ちゃんはコーヒーを飲む。それからカップを口元から外すと、表情を変えて口を開いた。
「そういえば……快は学校に来たか?」
「……」
私は思わず黙ってしまった。まさかお兄ちゃんがその話題を振ってくるとは思わなかったから。
「なんで、快のこと聞くの?」
「永遠が心配なんだ」
「……」
「そいつのことをまだ想ってるならやめた方がいい。忘れるしかないと思う」
楽しい気持ちが一気に冷めていく。図星をつかれて悔しくなった。だからってお兄ちゃんに当たっても意味が無い。
兄として、私を想っての発言だって分かってるのに。
「お兄ちゃんには関係ないからいいでしょ。最近のお兄ちゃん、嫌い」
だけど口から出たのは嫌悪を示す言葉で。私が「嫌い」と口にした瞬間、お兄ちゃんは素早くこっちを見た。
私から見ても分かるくらい、すごく驚いた顔をしてショックを受けている。あ、しまった。そんな顔させるつもりじゃ……。
「ぶはは!嫌いとか言われてんじゃん絆!ざまぁみろ!」
謝ろうとした時、ちょうど帰宅した刹那が横槍を入れてきた。
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