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俺は目の前にいる天使に尋ねた。
「天使って奴はどんな奴にも優しいんだよな?」
天使は溢れる笑顔で応えた。
「勿論です。誰に対しても優しく接します」
俺はその言葉を聞いて心の奥で笑った。
「俺みたいな奴にも優しくしてくれるのか?」
天使は柔らかな笑顔でにっこりと応えた。
「さっきも言ったように誰に対しても優しく接するので安心してください」
俺はその言葉に喜んで、天使と呼ばれる女に連絡をつけたかいがあったと思った。
「ギャンブルをするために金を三百万円ほどくれないか」
天使はにこやかな表情を変えずに応えた。
「勿論いいですよ。天使は誰に対しても優しくあるべきですから」
俺は嬉しく舞い上がりそうになった。
「じゃあ、さっそく頂けますか?」
天使が鞄から分厚い資料を取り出した」
「では契約書にサインしてください」
「契約書? ただではないのか」
天使が笑顔で応えた。
「一ヶ月間は無料ですよ。でも一ヶ月以内に返さなければあなたを地獄に送ります」
俺はそれに慄いた。
「地獄ってどんな地獄なんだ?」
「それは行ってみてのお楽しみです。でも、私の勘ではあなたならギャンブルに勝って返せると思います」
天使の言葉に触発されて、俺は必ず勝つと心に決めた。
「よし、わかった。三百万もらいます」
俺は契約書にサインをした。
帰る時にチラリと天使の方に目をやった。
天使が悪魔のような形相で微笑んでいて寒気がした。
天使は人を地獄に落とす魂胆なんだろうか。
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