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本作品に登場する会社・人物・団体・サービスはすべて架空のものであり、述べられている理屈は架空の会社の架空の話です。
万が一似たような名称(元ネタかと想起させる)の会社・団体等があった場合は本文を修正いたしますのでご教示ください。
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「先輩! ついにやりました!」
「おお、小説家志望のアタロウくん! どうしたんだね!」
「公募生活苦節十年、ついに、出版社からお呼びがかかったんですよ! ついに僕の小説が、本になるんです! 足掛け三年で完成させたファンタジー大作、『ホゲポンゲ村のヌッチポ魔王』が!」
「タイトルには引っかかるところがあるものの、おめでとう! もう出版が決まったのかい!?」
「今見積をもらっていて、費用の算段がついたので、あとはゴーサインを出すだけです!」
「……ん?」
「先輩、なにか?」
「見積? 費用? なんだいそれは?」
「実は先日、とある公募に落選したんですが、その後出版社から連絡があって、『惜しくも受賞はしなかったけど、内容は非常にしっかりしていて、編集部でも受けが良かった。ついては、ぜひ共同出版という形で世に出したい。共同出版というのは……』」
「ああ、知ってる。費用を作者と出版社の共同で負担するっていうものだろう」
「そうです! 大絶後出版というところなんですけど」
「ああ……で、君の持つ費用はいくらだって?」
「二百万円で見積をもらっています。これでも、有望な作品ってことでかなり割り引いてもらったそうなんですけど」
「内訳は? 今持ってる?」
「これです。A4一枚の紙です」
「ふんふん。……ざっくり数行書いてあるだけで、具体的になんの費用なのかよく分からないな」
「紙一枚での見積って、そんなものじゃないですか?」
「まあね。とりあえず、その出版社で共同出版するのは、慎重に考えたほうがいい。悪い意味で有名な会社なんだ」
「悪い意味で?」
「ほかの会社はどうだか知らないが、その会社で共同出版をした人たちからは『騙された』『ひどい』っていう声が相次いでいるんだ」
「ええっ。僕は騙されてなんかいませんよ、見積だって前もってもらっているし、確かに大金ですけど納得して払うんですから」
「そう、共同出版自体が悪いわけじゃない。高額であっても本人が納得して払うわけだし、出版社側もその辺の説明は事前に重々してくれるはずだ。出版のための選択肢の一つであって、気に入らなければ利用しなければいいだけのことだ」
「そう思います」
「なのになぜクレームが起きるのか。問題として挙げられる部分は、いくつかある。しかし、大絶後出版社側がとある一つの重要事項を作者に説明していないことに根本的な原因がある」
「? 金額ですか?」
「金額ではない。多くの同社の共同出版利用者は、ごく自然にある誤解をしている。そして大絶後出版社側は、その誤解を正さない。そこが『騙された!』という人が出てくる原因なのさ。だから個人的には、大絶後出版はおすすめできないね」
「なんなんですか、その誤解――重要事項というのは? 僕は、この作品を大事に育てたいんです! 世界に名だたる名シリーズに育てたい。今までは公募でウケない内容のためか、全然評価されることはありませんでした。でも、ここから大きく成長し飛躍するんです、僕のヌッチポ魔王は!」
「……君の場合、作品にも問題がある気はするけれどね」
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