戌神様

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 何だかすっかり嬉しくなって、私は思わず、手にした人形を、胸にぎゅうと抱きしめた。  ちょっとだけ、お人形が熱くなった気がした。  その時。  グラッ。    軽い目眩のような揺れを感じた。と思うと、鏡を祀る祭壇が、小さくカタカタと動きだす。  ヤバっ、じ、地震?!  思ったのとほぼ同時だった。  ドォンッ。  突き上げるような衝撃が、私を襲った。   「わ、わっ」  程なくして、大きな振動とともに、ゆさゆさと身体が横に揺れ始める。  天井の桁から木屑が舞い、ミシミシとお社全体が軋み出す。  「キャアッッ」  私は立っていられなくなって、祭壇側に四つ這いに倒れ込んだ。  胸に抱いていた犬神様のお人形が、コロコロと向こうに転がっていってしまう。  痛いっ。  祭壇から次々に物が落ちてきて、頭を抑えた私の背面にぶつかってくる。  ヤバい。このままだと鏡、お戌様の鏡が……  護ろうにも、四つ這いで頭を庇った格好のままで動けない。  ミシッ。
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