戌神様

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 揺れの時間がすごく長い。  怖い。  この古いお社がもし潰れたら、私はきっと、このまま死んでしまうだろう。  ミシッ、ミシッ。  バキャッ。  屋根の軋み音が酷い。いまさっき、大黒柱が悲鳴のような音を上げてひび割れた。  視界が平行四辺形に歪んでいる。  誰か、助けて。  お父さん、お母さん! ……遠江…先生。  バキバキバキッ。 不自然な応力に耐えきれず、とうとう目の前の柱が折れて、天井が下がってきた。  ああ、もうダメだ!  もしかしてこのお人形、勝手に触ったりしたから、神様が怒っちゃったのかな。  お父さん、お母さん。先に逝っちゃってゴメンなさい……    大きな桁が、頭上に迫った。  私はぎゅっと頭を抱えて、ギュッと目を閉じた。  ドォォォンッ。 物凄い音とともに、身体に大きな衝撃が。  痛いっ、重いっ!  く、苦し…………  くない?   「大事ないか」 え?    
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