歪な天使

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彫師なら、タトゥーを彫ることが相手の人生を背負うってことくらい心得てる。 正直、俺も完成させるのが怖い。 また誰かが天使に連れて行かれたらって思うとね。 だから、本当は途中で客が来なくなっても俺はいいんだ。 俺のせいでそいつがいなくなったんじゃないって、思えるから。 ダサいだろ、俺。 でも、これを彫る前はきちんと話をしておきたかった。 「それでも彫りたい」か。 いや、本当は、君以外の客には飛鳥の話をしたことがないんだ。 怖くなったり違うと思ったら、途中でやめてもいい、ということは伝えたけど。 何となく、君は最後まで完成させるような気がして、怖くてね。 何故かって? 最初から思ってたけど 君は目の奥が飛鳥にそっくりなんだ……
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