潮風の誘惑

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 暑い夏が終わり、秋風が吹き始めた頃にふっと、雄一は癒される水族館に出掛けたくなった。  その日の夕方に携帯で確認したら、結構身近なところに水族館があるのを知り、翌日の夕方にそこに出掛けることにした。  電車に乗り、スカイタウンの下にあるすみだ水族館に入った。  特にこの水族館はクラゲの種類が多く、見ているだけで心が癒された。そこから金魚展示ゾーンの江戸リウムに行くと一人の女性が物憂げにその金魚を眺めていたので、雄一はその女性に「金魚を見ていると癒されますね、、」そう言うと、女性は「そうですね。私はこの水族館が好きなんですよ。来るたびに癒されるので」  「そうでしたか。私もですよ」  「ああぁ、私は早野雄一といいます」  その女性は、名刺を渡してくれた。名刺には結城レナと書いてあった。  「私、フランスと日本のハーフなんです。1年に数回フランスに両親がいるのでそちらに帰っています」  「今は日本の本社に勤めています」  「こうやって、貴女に出会えたのも何かの縁ですね。この水族館を見てから食事にいきませんか?」  「そうですね。私もこの水族館を見てそれからなら構いません。では、少し色々見ていきましょう」  二人で奥に行くとチンアナゴがこちらを見て挨拶をしているようで、レナさんはふっと、ほほ笑みを浮かべていた。  雄一はさっき見た、クラゲの水族館に足を進め「私はこのクラゲが好きなんですよ。ふわふわと揺れ動く姿で普段の忙しい時間を忘れるような気持ちになり、癒されるんですよ」  レナさんはそれを聞いて「何となく私も癒されます。この先にいるマゼランペンギンも私は好きなんです。ペンギンに変わって私もこの中で泳ぎたいくらいです。一緒にペンギンと戯れてみたいです」  そうやって、水族館をぐるりと回って外に出て、近くのレストランに入った。  そこでお互いのことを話し合った。  雄一は「趣味で油絵を描いていて、たまに、旅行しながら風景とか人物を描いています」  レナさんは「私はいろんな国にいくのが好きです。その国の文化に触れてみたくて、、、」  「そうでしたか?今度、一緒に旅行行けたらいいですね」  「その時には、私をモデルにして書いていただけたら嬉しいです」  雄一は「もし、レナさんが良ければ描いて見たいです」  話がつきなく、時間が過ぎて行き「もう、11時ですね。家まで送りますよ」と、雄一は話すと、  レナは「そうですね。今日は楽しい時間をどうもありがとう」そういって、店を後にして、タクシーを捕まえて、レナさんを送った。  別れるときにレナさんは「また会えますよね?」そういったら、  雄一は「もちろんですよ」そういって、二人は別れた。  それから3日後に雄一が会社の同僚の敏也さんと食事をしていたら、レストランの入り口に3人の女性が何かを話しながら店に入ってきた。ふっと雄一が目をそちらに向けたら、レナさんがそこにいたのにはビックリした。  レナさんもそれに築き、雄一のところに行き「先日はどうもありがとうございました。会社の近くなので同僚と食事に来ました」  「そうでしたか、簡単に自己紹介すると、左から彩さん奈々さんです」「私の方は敏也さんです」雄一は「敏也さんに先日、水族館で出会ったレナさんです」  レナさんも「この前話した雄一さんです」  女性の二人は「先日レナさんから色々話は聞かされていました」  「そうでしたか。どうせなら、みんなで食事しませんか?」そう言われ、  レナさんは「よろしければいっしょに食事しましょう」と言った。 レストランのBOXに5人が座り、和気あいあいと話して、食事を終わらせた。  別れるときにレナは「今度、10月の始めに休みが取れるので私をモデルにして絵を描いていただけませんか?」  それを聞き、雄一は「わかりました。レナさんの要望ですから、時間をつくって描きますのでお願いします」そういって、レストランを後にした。  9月の下旬になり、レナさんに予定と、場所の確認をした。 雄一はレナさんと出会ったときに海の似合う女性と感じたので式根島に行くことを提案した。  レナさんは非常に喜んで今年の最後の海にしたいと話していた。  さっそく、宿を予約して色々探した結果、プチホテルのラ・メールと言うところに泊まることにした。  10月のレナさんの休みになり、その日は朝からいい天気で、秋と言いながらもまだまだ夏の名残が残っているようで少し暑かった。  レナさんに連絡して、竹芝桟橋で待ち合わせして、8時半のジェット便に乗り、昼には式根島に着いた。  その足でラ・メールに向かった。部屋は洋式で小ぢんまりした部屋だった。荷物を置いてひとまず島を散策した。  季節はオフと言うこともあり、人気の少ない島だった。  一回り散策して港の近くの店で軽い昼食を取った。そのままホテルに向かっている途中で突然雨が振りだしてまさに、雨のエアーカーテンの状態になりホテルに帰った頃には着ているものがびっしょり濡れてしまった。  部屋に戻り、レナさんはバスタオルを持って、浴室に入り、着ているものを脱いでシャワーを浴びた。  途中、浴室の扉が開いて「雄一さんも早くこちらに来て体を暖めてください」と言われ、雄一は着ているものを脱ぎ、浴室の扉を開けて中に入った。  中ではレナさんが頭からシャワーを浴びて、惜しげもなくその体を見せつけていた。  雄一はレナさんの隣に入り、頭からシャワーを浴びた。 温かい飛沫が全身を包み、気持ちよかった。その時、ふっと、レナさんが雄一の唇に口づけをした。  それを気に雄一はレナさんを抱き締めて、口づけを返した。 雄一はシャワーを浴びながらレナさんの乳房を揉み、欲望を目覚めさせた。 レナさんはより激しく悶えながら雄一を求め激しく体を震わせた。雄一はレナを浴室の壁に体を付ける形にして、バックから膣へと挿入をした。  レナは絶えきれず、声をあげて悶え、、、「このまま奥に、、、奥に、、、激しく、、入れて、、、」雄一は激しく挿入を繰り返し、一気に膣の中に精液を放出した。  それと同時にレナの体が崩れ落ちるように床に倒れた。  雄一はレナを抱き締めて、口づけをした。  そして、シャワーの水を冷たくして二人は抱き合った。 バスタオルで体を拭いて、リビングに戻るとエアコンの効いた涼しい風が体を通り抜けた。  二人はそのままベッドに横になった。  レナは「先日話した私をモデルにして油絵を描いてもらいたいの私のこの綺麗な体のすべてを描いてもらいたいの、、、」  「もちろん、ヌードでお願いします」  そう言われ、雄一は今、抱いたレナの体を描いてみたい気持ちが沸々と溢れだし「さっそく明日から始めましょう」と話がまとまった。  翌日は朝から太陽がさんさんと輝いて、夏を思わせる暑さだった。  シャワーの音で目を覚まし、雄一も裸になり、浴室に入ると冷たいシャワーをレナさんは頭から浴びていた。  そこに雄一が入り込んで「おはよう」と言って、冷たいシャワーを浴びた。 その冷たさで眠気が吹き飛んでしまった。 そして、レナさんを後ろから抱き締めて口づけをした。  二人は抱き合ったまま冷たいシャワーを浴びた。 シャワーを浴び終えて、バスタオルで体を拭いて浴室を出るとエアコンの冷たい風が気持ちよかった。  そのまま二人はベッドに横になり、お互いを求めあった。  レナは乳房を刺激されるほどに興奮をして悶え、膣からは愛液で濡れ始めていた。ふっと、レナの舌先が雄一の乳首の先から下へと進んでいった。  体勢を変えてお互いを刺激しあいながら求めあった。  雄一は体を起こしレナの足を立ててその間に入り、ペニスを膣へと進ませた。  挿入した瞬間にレナは大きく悶え、その瞬間に興奮を高めた。雄一は激しく求め、すべてを膣の中に吐き出して前のめりに体を倒した。 そして、レナの唇に口づけをした。  雄一は体を離して横になるとレナの膣から溢れだした精液を拭き取って、浴室に汗を流しに二人で入った。  汗を流してから二人はホテルのレストランに出掛け朝食を食べた。朝食はパン食にして、温かいコーヒーを飲みながら雄一はこれから描く絵の構想を頭に練った。  食事が終わり、部屋に戻ってレナさんに「今日から作品に取りかかりますね」  そういって、キャンバスの道具を奥から引っ張り出してきた。 レナさんは着ているものをすべて脱いでバスローブに着替えて椅子に座って、雄一さんの指示を待っていた。  準備が揃い「レナさんこちらにある椅子に座ってください」 そう言われ、バスローブを脱いで椅子に座った。 形がいい乳房がそこに現れ、うっすらと性毛が映えていた。雄一は先ずポーズを考えてこのようにと指示をした。  20分書いては10分休み一応の形ができるまでレナさんにモデルになってもらった。  そして「今日はここまで出来たのでこの先は明日にします」と雄一は言って、遅い昼食をした。  その後は、自転車を借りてこの島にある温泉に浸かることにした。  そして、自転車をこいで足付温泉に着いた。 レナに取っては初めての体験だったのか、海の中にある温泉で海水が混ざってちょうどいい温度になるところだった。  レナは周りに誰もいないことを確認して、全裸になって飛び込んだ。レナは「ちょうどいい温泉ですよ」と言い、雄一も裸になって入った。 海水の混ざりかたがちょうどよく、寒くもなく入れた。  しばらくして、雄一は温泉に入っているレナを写真に残した。  そして、体をタオルで拭いて服を着た。 道すがら太陽が沈むのを眺めながら、ホテルに戻った。 部屋に入り、二人はシャワーで海水を流してからホテルのレストランに向かった。 夕食は海の幸のイタリアンだった。  さっそく、ワインを開けて、お酒を飲みながら、イタリアンを食べた。軽く酔ったところで夕食を終えて部屋に戻った。  部屋に入るなり、雄一はレナを抱き締め、口づけをした。 そして、着ているものを一枚ずつ脱がし始めた。下着姿になったところでベッドに移り、雄一も着ているものをすべて脱ぎ、その後にレナのブラジャーとショーツを脱がした。  雄一は酒の勢いもあり、激しくレナを求めた。  レナもその勢いに乗り、激しく悶えて興奮をエクスタシーへと変えていった。それを気に一気に挿入をして、激しく動き精液を放出した。そして、二人は力尽きるようにベッドに倒れた。  あれから軽い眠りにつき、気づいたら、レナは浴室でシャワーを浴びていた。雄一も後を追うように浴室に入り、シャワーを浴びてスッキリした気分で浴室を後にした。  冷蔵庫から冷たい水を飲みながら、雄一は「この作品は明日中に描ける所まで描いて、残りは自宅で完成させます」  雄一は「レナさん明日はモデルでお願いします」そう言われ、レナは「わかりました」そういって、二人は再びベッドに倒れ、この後続く愛欲が限りなく続いた。 そして、いつの間にか眠りに着いた。  翌日も朝からギラギラと太陽が輝いていた。 目が覚めたレナはふっと、窓際に何も着ないまま近づいて体をさんさんと太陽に浴びた。レナは解放された気分になり、これでもかと言うぐらいに手足を大きく伸ばした。 それを見ていた雄一はレナの解放された姿に感動した。 そして「昨日はよく寝れましたか?」 そう聞かれレナは「よく寝ることができました」 そういって、全裸のまま浴室に向かった。 雄一もその後を追うように浴室に向かった。 二人は少し温かいシャワーを体に浴びてスッキリさせた。 バスタオルで拭いて、軽い軽装に着替え、朝食を食べにレストランに向かった。レストランでは香り高いコーヒーに誘われて、腹一杯食べ、コーヒーを2回もおかわりをした。  窓から見える海は穏やかだった。  食事が終わり、二人は部屋に戻り、さっそく昨日の続きを始めた。 レナは全裸になり椅子に座り、雄一はキャンバスに色を付けて行った。半日を過ぎた頃には全体の形が見えてきた。  そこで一休みをして、着替えて、港の近くの寿司屋に入り、地元の寿司を食べた。 普段食べているものと違い、地元の取れる魚だけで握ってもらった。どれもみんな美味しい魚だった。  その後、レストランに入ってアイスコーヒーを飲みながら海を見ていた。 レナはふっと、フランスに居る両親に会いたくなってしまった。 どことなく故郷の風景に似ているような感じがしてそんな気持ちになった。雄一はそんな気持ちもわからず「部屋に戻ろうか?」とレナに話し、レストランを後にした。 部屋に戻り、残りの時間をキャンバスに向かい夕方までにほぼ完成した。 描かれた絵にはレナのヌードが惜しみ無く描かれていた。 それを見て、レナは大粒の涙を流した。 雄一は「後は細かな修正をして完成です」  その夜は二人の愛欲は今までにないほどの激しさだった。まさに、二人が燃え尽きてしまうように、、、そして、二人の夜は終わった。  翌朝は朝食を食べ、帰り支度をして式根島から出る高速艇に乗って東京に帰ってきた。 雄一はそのままレナを家に送り自宅に帰った。  それから3日後に絵が完成して、レナにその絵を渡した。 レナは喜んで、そのお礼に雄一の好きなワインを渡した。 雄一は喜んでそれを受け取った。 レナは「この後に出掛けるところがあるので、改めて会いましょう」と約束をした。  だが、この約束ははかなく破られてしまい、そして、別れとなってしまった。 レナはその2日後にフランスから電話があり、母親が心筋梗塞で重体になったことを聞かされて、緊急フランスの病院に向かった。  レナが病院に着いた頃には息も絶え絶えに母はレナに会えたことを喜んでくれた。 母は涙を浮かべながら小さくうなずいて、息を引き取った。 ほんの一瞬の時間だった。 レナの頭の中では母とのことが走馬灯のように駆け巡った。  そして、荼毘に付され、時間が過ぎて行った。 家に帰り、庭から見た海の景色がふっと、あの式根島の景色を思い出させてくれた、だが、今はもう、この家からは戻る気持ちになれなかった。レナは雄一に手紙を送ることにした。    雄一さま  現在、私はフランスに来ています。  母が亡くなり、今はもう、日本に残る気持ちには慣れません。  残された父のこともあり、このままこの地で過ごして生きます。  短い間でしたがありがとうございました。  そして、貴方に描いてもらった絵は私の宝物になりました。  この絵を見ながら貴方との時間を思い出します。     レナ    この手紙が雄一の元に届いた頃、レナはフランスにいた。 突然の手紙で雄一は面食らってしまったが、レナの気持ちを理解して別れることにした。 雄一は心の中で短い出会いだったが、貴女との時間は有意義な時間でした。 そして、ありがとうと心の中で叫んだ。  ふっと、目頭が熱くなった。
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