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「お母様の話だと、そうらしいの」
「でもうちの下宿は、特別高くないんじゃないか?しかも下宿人は、一人だけだし」
「私もそう思うけれど、本郷はよその地域に比べると比較的高いのですって。それでね、本郷の下宿の相場が知りたいのよ。それがわかれば、うちの下宿代が高いか否かがわかるでしょう?一体、どうしたらいいのかしら……」
「それは、簡単だよ!重蔵兄さんに、聞けばいいのさ」
「……重蔵兄さん?」
「だって兄貴は、銀行員だろう?本郷の下宿の相場くらいは、調べればすぐにわかるさ」
「……なるほど!三吉兄さん、冴えている!」
重蔵兄さんが帰ってきたらすぐに伝えようと、ひゐろは思った。
「……三吉兄さん。今の話でちょっと気になったのだけれど、一人いる下宿人は、どのような方なの?私はお会いしたことがないわ」
「……そうか。ひゐろは、いまだに会ったことがないのか」
三吉は下を向いて、タマを撫で続けた。
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