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三吉はポリポリとたくわんを噛みながら、ごはんをかき込んだ。
思えば毎日のように、関東日日新聞では物価高の話題ばかりだ。
日によっては、生鮮食品や日用品の価格の相場が書かれてある上、相場より圧倒的に高い店については電車の広告にそれを掲げると政府の調査員は意気込んでいる。国民の生活を案じての取り組みだろうが、それじゃまるで吊し上げじゃないかとひゐろは思った。
ひゐろは朝食をすませ、自室に帰って匡に母乳をあげた。
するとすぐに、匡は眠ってしまった。
手持ち無沙汰になったひゐろは、雑誌『女性読本』を開いた。
―――米国製のミネルヴァ毛糸を使って、
ショールや靴下を編もう
という特集が目に止まった。
これから寒くなるから匡に編んであげようとひゐろは思ったものの、編み物のやり方を知らない。
“そうだ!母に習おう。いろいろと話をする口実にもなるし”
そう思ったひゐろは、『女性読本』を持って民子の部屋に向かった。
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