第三話:下宿経営の不安

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「匡から離れると心配だから、私があなたの部屋へ行くわ」 ひゐろは自室に戻り、民子が毛糸とかぎ針を持ってひゐろの部屋にやってきた。 民子は早速、鎖編みの基礎から教えはじめた。 匡は目が覚めたようで、少しぐずぐずと泣きはじめた。 「斎藤さんは、匡に会いたいでしょうね」 民子は匡をあやしながら、ひゐろに話しかけた。 「ええ。……お母様、実は斎藤さんが年内に釈放されるらしいの。先日、面会に行ったらそのように話していたわ」 「本当に?それじゃ、あなたたち三人で暮らせるの?」 「釈放の日程はまだわからないみたいだけれど、そう話していたわ」 ひゐろは編み続けながら、そう返事をした。 民子は目に涙を浮かべながら、 「良かったわね……」 と言った。 「それでね、お母様。私は十一月から働くわ。夫もすぐに働けないでしょうし、家賃を払い続けなくてはならないから」 「大丈夫?家庭の経済を支えるのが、あなたの細腕になるのよ」 民子は涙を拭いながら、そう言った。 「働いていれば何とかなるわ。心配しないで」 ひゐろは笑って、そう返した。
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