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2 悪女
江悠悠は突然誰かに強く押され。
頭は目の前の丸い柱にぶつかり、すぐに大きなたんこぶがで、同時に激痛に襲われ。彼女は痛みを我慢しながら、ゆっくりと起き上がった。
振り向いてみると、自分を押したのは同室の孫宝林だったことが分かった。
女の姓が孫で、宝林は後宮での称号である。
江悠悠の称号は采女で、宝林よりも地位が低いから、彼女によくいじめられていた。
その時、江悠悠に仕える侍女が心配そうに急いで走ってきて、彼女を支え上げた。
「采女様!大丈夫ですか?」
主人がいじめられることに関して、秋燕はもう慣れていた。
秋燕は主人をとても可哀相に思いながらも、助ける術はなかった。
この冷たい後宮の中、高い地位や皇帝の寵愛もなければ、出世できないに等しい。
孫宝林の地位は低いけど、それでも時々皇帝に会えることができる。彼女は皇帝の寵愛を利用して江悠悠を殴りや骂りをする。
今の江悠悠はすぐに仕返そうと考えていない。
宇江原悠は自分が読んだ小説の内容を思い出そうとした。
物語の始まりでは、確かに主人公はいじめられていた。そして、孫宝林はその悪役の一人。
主人公をいじめるためだけに存在しているのではないかと思うほど、彼女は様々な悪事をした。悠は孫宝林をチラッと見た。
整っている顔だけど、悪事をしまくった関係で人から恐れられている。
彼女にいじめられるのはもう何回目なのか。宮廷に入ってから、孫宝林は気に入らないことがあれば、全部江悠悠のせいにする。
江悠悠と秋燕は何の反撃もできなかった。反撃をすれば、さらにひどい侮辱と殴りに遭うとわかっているから。
このことを気にかける人は誰もいない。下っ端の妃がたとえ死んでも、誰も覚えはしない。どとしたら、自分でやらなければならないことってあるよね。
「何見てんのよ!」
「私に仕返したいのでも?」
「本当に運が悪いよ。」
「あなたなんかと同室に割り当てられてしまうなんて。」
「ここは皇帝陛下に遠いから、顔を合わせることすらとても難しいだよ。全部お前のせいだ。あなたなんかと一緒に住んでいなければ、私はあの人たちよりも優れていたはず。」
これは孫宝林がよく言う言葉、あきるほど聞いていた。
悠は動かずそこに立っていた。
「采女様、このまま黙っていましょう。彼女の気が済むのであればそれでいいと思います。」
秋燕は少し怖がって悠の腕をつかんだ。このようなことは初めて起きたではないから、我慢すれば無事に終わる。
しかし秋燕は知らなかった。今のここに立っている者は元の江悠悠ではないことを。
今の江悠悠は現代社会から転生してきた人で、新しい思想と冷静な頭脳、そして何も恐れない性格を持っている。
悠は冷静に一歩前に進み、孫宝林をにらみついた。
孫宝林はにらまれてうんざりした。
「何睨んでいるの?私を脅してるつもり?怖がるとでも?まさか馬鹿になったの?」
「お前のような下っ端にいる人は、ここに現れるべきではないのよ!」
「宮廷に入れること自体すでに天のお恵みよ。」
「私は皇帝陛下に二回も会ったことがあるのよ!?」
「彼は私に話しかけたの。」
「でもあなたは?」
「陛下はあなたの存在をまるで覚えていない。もう夢を抱くような真似はしない方がいいわ。」
「あなたはこの冷たい後宮で孤独に老いて、ただ死ぬのを待つだけ。野良犬のように忘れられてしまう。」
悠はただ静かに彼女を見つめ、何も反応しなかった。けれど、孫宝林は満足しなかった。
「あなたの顔を見るだけでイラつくわ。バカみたい。」
「いつあなたのこの嫌な顔を見なくて済む日が来るかしら。」
「次に陛下に会える機会があったら、すぐにこの場所から引っ越すように頼むわ。」
「あなたという災いから遠く離れるわ。貧乏で醜い女が、私と一緒の屋根の下で住むことができるなんて本当におかしなこと。」
「あなたは世界で最も尊い男に会う資格はないし、侍女になる資格すらない。采女の地位を得たのも贅沢だわ。」
「私があなただったら、すぐに死ぬわ。生きる意味すら持ってない。」
そう言うと、孫宝林と彼女の侍女は耐えず笑い出した。
彼女らの笑い声はとても耳障りで、聞いているととても心地が悪かった。
悠は江悠悠のことを心から可哀想に思った。
彼女は16歳で無理に家を離れて、後宮に来なければならなかった。そして人にいじめられ、笑わられ。彼女は一体どんな感情抱いたであろう。
「采女様、行きましょう。」
「薬を塗って、他に傷があるかどうか検査しましょう。頭はかなり傷んでいるようですから。」
侍女の秋燕は悠の額の腫れに気づき、薬を塗ることで孫宝林との対立を避けるよう提案した。
「止まれ、私がいつあなたたちを行かせて良いと言った?」
秋燕が悠を支えながら立ち上がろうとしたその時、孫宝林は彼女たちをとめた。
「まだ叱りきれていないわよ。もう離れたいとは?」
「卑しい女め、跪け!私はまだ気が済んでいない、決して行かすな!」
孫宝林は悠たちに威勢よく命令した。
「孫宝林様、申し訳ありません。采女様はわざとではありませんので、どうか許してください。」
「采女様はすでに怪我しております。薬を塗る必要がありますので、行かせていただいてもよろしいでしょうか。」
秋燕は悠に代わってこの悪女に謝罪し、彼女の寛容を求めた。二人がここから無事に離れることを望んでいた。しかし、彼女たちの考えは甘かった。
孫宝林は彼女たちを許そうとしなかった。
「私に跪けと言っている?耳はただの飾り?これは命令よ、抗うことはできない。私の地位はあなたの江采女よりも高いのだから、お前たちは私に従わなければならないの、お分かりかしら?」
孫宝林は強引に命令下した。秋燕は孫宝林を恐れ、彼女の言うことを聞こうとしたが、悠に止められた。悠は秋燕に首を振り、ゆっくりと孫宝林の前に歩き、彼女と目を合わせた。
「何をしたいの?」
孫宝林は悠を見落としながら問いかけた。次の瞬間、悠は両手を出し彼女を強く押し倒した。
そばにいる侍女は信じられないほどに驚き、そばにいる秋燕も口を大きく開いた。
孫宝林自身も驚きのあまり倒れる直前に悲鳴を上げた。
「キャアアア――!お前、イカれての!?この私に手を出すなんて!!」
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