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特別番外編 悩み※
「やっぱり....腫れてる」
ボソッと呟いた僕の一言が静かな寝室に響く。立ち鏡の前で上半身だけ肌を露わにした自分はズイッと更に近付き、じーっと観察する。
気の所為じゃない....やっぱり──
「なんか乳首も前より大きくなった様な...」
最近、乳輪に指先が触れるだけで敏感に反応してしまう。以前の僕ならこんな事にはならなかったのに。
思えば晴也に触れられるようになってからだ。指先だけじゃない、衣服が擦れる度に乳首が反応して直ぐに主張してしまう。いちいち感じてしまうので最近は軽くストレスである。
「どうしよう....軟膏は塗るとしてそんな直ぐ治る訳じゃないし....」
チラリと棚の上の小箱にある絆創膏の箱を何気なく見つめて動きを止める。いや...流石にそれは....バレたら絶対揶揄われるのが目に見えてるし、我慢して痒みが去るのを待てばいい。
「........」
衣服をスルッと元に戻し、再び乳首に擦れてゾワゾワッと腰の辺りに震えが走る。今回だけ.....やむを得ないと諦めた自分は渋々絆創膏に手を伸ばした。
乳首に絆創膏を貼る生活が一週間程続いているが、貼るのと貼らないとでは比べ物にならない程、以前より快適に暮らしていた。恥ずかしいなんて思っていたが、彼の前で裸になる前では取ればいいだけの話。
そのせいで忘れていたのだ──
「祐樹っ、火傷してるかもしれないから早く脱いで!」
「~っ!」
こういう不意打ちでバレてしまうリスクの事を──!
「祐樹。何で脱がないの?思い切りお湯が掛かったのに....早く冷やさないと火傷の痕が残るかもしれないよ」
遡る事数分前、本日の晩御飯の担当で料理をしていた僕とそれを母親ポジションで見守っていた晴也。
頭上の棚に手を伸ばした際に腰が熱々の湯の入ったボウルに直撃してしまい、自分にもろ掛かってしまったのである。慌てて服を脱がせようと晴也は手を伸ばすが、それをギリギリで死守し今に至る。
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