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そう思って図書館にある誰も居ない奥教室に向かう。大丈夫、きっとそこなら誰も居ないし、さっさと終わらせてしまおう。
扉に触れて開けようとした次の瞬間、自分より背の高い青年が姿を現した。整った顔立ちの彼...話した事はないが、よく耳に聞く程知名度のある人物。確か名前は──
(井口晴也)
真っ直ぐ僕を見つめる彼の視線。
完全に交わった直後、明らかに身体の芯が疼き始めた。やばい...この感じ、恐らく相手はαだ。
目を合わせたままゆっくり後退り、呼吸を整えようと息を吸って吐いてを繰り返す。
一瞬で目の色が変わった彼はうめく様に息を吐きながら口元を手で隠し、少しずつじりじりと詰め寄ってくる。
今図書館から逃げたとしても、自分のフェロモンに当てられたαが増えて地獄絵図みたいになる可能性が高い。普段だったら発情のタイミングで抑制剤を自動的に打ってくれるチョーカーを付けているのに今日に限って忘れてしまうなんて最悪だ。
聞こえないくらいに小さく舌打ちをし、振り切る様に勢いよく走り出す。しかし、興奮状態のαに敵う筈なんてなく、呆気なく追ってきた彼にうつ伏せの状態で押し倒されてしまう。
『お、重っ...ちょ、ほんとに退けって』
必死に腕を退けようと力を込めるが、僕も結構この時点で限界だった。
もう僕の声も聞こえそうにない様子の彼は、犬の様に耳元に鼻を近づけ匂いを嗅いでくる。お尻の辺りにズボン越しだが感触の分かる膨らんだ性器が押し付けられてきて、無意識に身体がピクッと反応してしまう。
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