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果たして嶋田の予感は当たってしまった。
無事他人の同窓会への潜入は成功したものの、そこで嶋田を待っていたのはタダ酒程度ではとても釣り合いの取れない、ハードな展開だった。
とりあえず一杯目の生ビールを呷っている時、有野(例のねずみ男。偶然にも彼の隣の席だった)が声をかけてくる。
「うぇーい、本当に久しぶりだなぁ又吉」
「ん……そうだね、あ、有野」
「お前さぁ、今仕事何やってるんだ?」
「お笑……ふ、普通のサラリーマンだよ」
「からの?」
「えっ」
「か〜ら〜のぉ〜?」
嶋田は混乱した頭を必死に回転させる。
「だから、普通のサラリーマンだよ。シュワッチして怪獣倒すだけの」
「おいそれサラリーマンやなくてウルトラマンやないかーい!」
「営業時間三分で敵をヘァッ!しないといけないのがキツくてさ」
「はっはっは! やっぱ相変わらず面白れぇわ又吉!」
大笑いで肩をばんばんと叩いてくる有野をヘァッ!したい気持ちを堪えつつ、嶋田も愛想笑いを浮かべる。
嶋田を待っていた展開、それはつまり、「有野たち同級生が思うような又吉を演じ続けなければいけない」ということだった。
なぜなら、一度ハイテンションで入って「変わらない又吉」を印象付けてしまった以上、ニセモノだとバレないためにはその状態を維持するしかない。
そしてそれは今の嶋田には地獄と言って差し支えなかった。
せめて普通のテンションで入っていれば「大人になって落ち着いた又吉」でいけたかもしれないのに……だが悔やんだところで後の祭りだ。
「……あれれ? どーしたん又吉、なんか妙に元気ないじゃん?」
「いやいや、全然そんなことないけど? 元気のない俺とかそんなの、元気のない俺じゃん!」
「そのままじゃねーかよ! はっはっはっ!」
自分で言っといてなんだけど何が面白いのか分からない。
だけどこうなったらもう、勢いで乗り切るしかない。嶋田はとにかく口だけ止めないように飲んでは話し、話しては飲んだ。
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