0人が本棚に入れています
本棚に追加
雨さん
いつも元気いっぱいのニッコニコ…だったはずの太陽さんが、分厚い雲に覆われました。
曇りさんと、天気を交代したわけでは無いのに、です。
空は、今にも雨が降り出しそうなほど、分厚い雲でいっぱいです。
曇りの感情を手に入れた太陽さんは、今日もずっと、彼の窓を、ひたすら見つめ続けます。
やはり今日も、彼がカーテンを開けてくれる事はありませんでした。
そしてとうとう、太陽さんは一滴のシズクをこぼしたのです。
"ボクがどんなに元気でも、キラキラ照らしても、君が笑ってくれなくちゃ意味ないよ…"
そう、ポツリと呟いて、やがて、一滴のシズクは、ポツ、ポツ、ポツポツ…と、小雨へと姿を変えていきました。
そして、ザーザーザー…と、激しい音を立てて、街を雨一色に染めてしまいました。
太陽さんの中に、雨、という"悲しみ"が芽生えた瞬間でした。
最初のコメントを投稿しよう!