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「あ、そうなんだ。でも、特に不都合はないよ。それにさ、今さらそんなもの入れるのは、さすがにちょっと怖いっていうか」
「ですよねー。わたしもかみさまに言ったんですよ。今さらそんなって。でも、まあ、かみさまが言うには? コレがないと、いわゆる人間らしさが損なわれるとか、欠陥品だとかなんだとか言って、もう激おこで」
「……困るの?」
「え?」
「おれがそれを断ったら、きみ困るの? 天界から追放されて堕天使になるとか?」
「いや、まあ、そうなるのかな……堕天使というか、野良になりますね、はい」
正直、てんしのおしごとには飽き飽きしていたので、この際だから野良になって放浪するのもいいし、魔界に入門するのもいいかなあなんて思ってたんだけど、意外にも柏木静夜はわたしの行く末を案じてくれているようだ。こころないのに、人間ぽいじゃん。
「……ぐっと、やっちゃってもいいですか?」
わたしの問いかけに柏木静夜は静かに頷いた。
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