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「──だれ?」
製造ナンバー『N65982』が静かに口を開く。
まあ、そうなりますよね。おまえはだれだって話になりますよね。
「ええと……まぁ、その、信じていただけるかどうかはわからないですが、天からの使いといいますか、いわゆる天使というやつで、はい」
六畳一間の狭いワンルーム。N65982、人間名でいえば『柏木静夜』は、キャスターつきの椅子をくるりとまわし、無表情のままにじっとわたしを見た。
「天使……羽根あるしね」
「あ、わかりますー? そうなんですよね、天使といえば白い羽根! これが紛れもない証拠といいましょうか」
「それで?」
柏木静夜が首を傾げる。がんばれ自分。ここからが正念場だ。
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