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「あの、ですね……そのぉ、まずわたしは人間を製造する部署で働いていまして、あ、いや、人間界ではあかちゃんというのは天からの授かり物とか言うじゃないですか。で、まあ、その製造に携わっている者なんですけど……」
「うん」
「それでですね、わたくし柏木様の製造にも携わっていまして……それで、あの、なんというか、ひとつ部品をね、入れ忘れたといいますか……」
「おれ、もう二十五歳なんだけど?」
「ええ、それはもちろん! 立派に成長されてなによりで……なんといいますか、要するに隠蔽というやつをですね、わたくしめがしまして……長年に渡り隠し続けてきたわけなんですが、それが今回ついにといいますか、とうとうといいますか、かみさま……ええと、人間界でいえば製造会社の工場長みたいな、とにかく上司にバレまして」
柏木静夜は一切表情を変えることなく、わたしの話を聞いている。それもそうだろう。なぜって、わたしが彼に入れ忘れたパーツは──。
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