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「じゃあ鬼塚、留守を頼んだよ。」
「はい、先生。お気をつけて。」
恐神はスーツケースを携えて事務所を出発した。
それは、ホラー系YouTuberの事件解決後、自室に戻りパソコンを起ち上げるとタイミング良く連絡をしてきたミリアから始まった。
「蓮ちゃん、やっほー!」
「やぁ、ミリア。」
「あれ?蓮ちゃんちょっと疲れた表情してない?」
「事件を1つ解決してきたところでね。」
「それじゃあミーが癒しをあげたほうがいいよね。」
ミリアはニヤッとしながら胸を強調させた。
「…ミリア。君は私に用事があったんじゃないのか。」
恐神は、ミリアの行動には触れずに淡々と切り返した。
「もう、蓮ちゃんは恥ずかしがり屋さんなんだから。えっとね、例の件が進展したんだよ。」
「何だって!?」
恐神は興奮した様子で画面に近付いた。
「あんらぁ、興奮した蓮ちゃん珍しい〜。結構苦労したんだからぁ。」
「さすがミリアだ。それで、その詳細は?」
「居場所の特定が。ここよん。」
ミリアは画像を共有した。恐神はミリアが表示した地図を確認した。
「…ここって、もしかして…。」
「そう!ロンドンよん!」
「…そうか、日本には居なかったのか。」
「一応現地のコーディネーターは手配可能よ。ミーは一緒に行きたいけどパスポートがナッシングなのよ。それと…」
「明日だ。」
恐神はミリアの言葉の途中で言った。
「え?」
「こっちを明日立つ。そのコーディネーターの手配を頼むよ。」
「…蓮ちゃん、積極的ね。」
「元はと言えばミリア、君から調べてくれると言い出した案件じゃないか。」
「それは蓮ちゃんが悩んでたからよ。…蓮ちゃんが抱えてた思いが少しは晴れるといいんだけど。明日ね、了解!フライト、コーディネーター、ホテルはミーが準備しとくわ。詳細はまたメールするわねぇ。」
ミリアは手を振った。
「ミリア。」
恐神の声のトーンが変わり、ミリアはドキッとして固まった。
「ありがとう。」
恐神は優しく微笑むとオンラインを切った。ミリアは恐神の微笑みに心奪われ、真っ暗な画面を見ながら暫く固まっていた。
トントン、ガチャ。
「先生、お疲れさまです。ジャスミン茶淹れましたので。」
「ありがとう。鬼塚、私は明日からしばらくロンドンに出掛けてくる。」
「ロンドン…ですか?」
冬子はキョトンとした。
「1つの仕事を終えたばかりだが急ぐ用事ができてね。」
「何か依頼ですか?」
「あぁ、ミリアを通じて海外からの依頼があった。チケットなどはミリアが用意してくれているから問題はない。」
「承知しました。では、スーツケースをご用意します。」
冬子は部屋を後にした。
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