営業2課坂崎課長の怪しげな行動 PART2

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* 「え? 嫌だけど」 えーっと。は? 耳を疑った。今なんと? 就業時間ギリギリに坂崎課長がトイレへと立つのを見計らって、私は思い切って課長に声を掛けた。手にはレンジくんのコースター。汚れがつかないようにと、すでに透明ビニールでラッピングしてある。 本当なら推し専用のクリアケースに入れ、ハートや星、リボンなどでデコりたいのを、手に入れて家に帰ったらと、はやる自分を抑えに抑え、ようやく迎えた坂崎課長のトイレチャーンス。 「あのー坂崎課長、今少しお時間よろしいでしょうか?」 くるりと振り返って、「小山田さん、何だった?」と眩しいほどの笑顔。イケメンの顔圧すごい。推しのレンジくんと天秤に乗せても、釣り合うか、もしくは若干下くらい(贔屓目)の煌びやかな顔面。 気後れしつつも、私はコースターを差し出した。 「これ、先程領収書に挟まっていたんですが……」 「そうだったんだ。全然気がつかなかった。営業先で喉が渇いちゃって、何とかっていうカフェに入ったんだけど、そこで貰ってさ。手間かけちゃったね、ごめん」 「やややむしろご尊顔を拝ませていただきありがとうございます」 「??」 「それであの…… お願いがござると申しますか……その、」 心臓がバクバクしている。ただ、このバクバクとも一戦交えなければならないことはわかっている。ここでクレクレ言わねば、レンジくんのコースターは永遠に手に入らない。(←フリマ購入は別扱い) 「あの……ここここここの(尊みがすぎる)コースターをいただくことは出来ませんでしょうか!」 愛の告白。好きです私とお付き合いしてください!それほどの勢い。 それなのに。 冒頭に戻る。 「え? 嫌だけど」
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