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営業2課坂崎課長の怪しげな行動 PART3
「は? それで何が言いたいわけ? 小山田さん?」
ハイエナもといお局の田中さんに、真っ向から対峙する。いや、向こうは真っ向からだが、私の視線は斜め下。ほんとこの人苦手だけど確認事項ありで仕方ない。
もしかしたら、まだ希望はあるかも知れない、田中女史に一縷の望みをかけてみよう、と。
「えっと……その……田中さん、今日坂崎課長とコラボカフェに行かれたって本当……ですか?」
「なによ! 私が嘘をついてるって言いたいわけ?」
すでに臨戦態勢。誰もそんなこと言ってないがな。
「ちちち違うんです。その時、何をご注文されたのかなあと思いまして」
「そんなことあなたに関係ある?」
すげなく言われてさらにテンションがダダ下がる。HPはこの時点ですでに3だが、攻撃があと2回以内なら生還できる。はず。
「あ、いえ、アイスコーヒー飲まれたのかな、と」
「だからそれがあなたに関係ありますか? ってこと!」
ひっ!
「さ、坂崎課長に奢っていただいたと仰ってたので……」
ここで田中女史、わかりやすく顔を緩める。
「そ! 私だけ特別にね!」
「その時に、コースターってついてこなかったですか?」
途端に怪訝な表情。わかりやすー。
「ああアニメキャラかなんかの。それなら坂崎課長に貰ってもいい? って言われたので、どうぞぉ〜って差し上げたわ。あーー♡ それをね課長ったら、田中さん、どうもありがとう って受け取った時の課長ってば、めっちゃかっこよかったあ」
ただのコースターの授受だっつーの!!(=^▽^)σ バシッ
「何度も、下の名前の美憂って呼んでくださいって言ってるんだけど、気恥ずかしいのかいつも田中さんって。違う違うそうじゃなあい、美憂♡って呼んでって……」
うっざ。これだこれこれ。確かにハイエナだわ。くらってはいないはずだが、謎の攻撃でHPはー1。
「仕事の時もぉ、課長もちろんかっこいいんだけどぉ。今日もね、サイワイ商事に営業かけに行ったでしょ?」
「はあ」
「もちろん課長のプレゼンも完璧だったんだけど、あちらの社長ってば、こっちが下手に出てるのをいいことにちょぉっと調子乗っちゃって、追加オプションをタダでやってくれって、ぶっ込んできたのよ。厚かましいったらありゃしないわ。でもね、そこで坂崎課長がね、提案した部分で安くできそうな案件を、その場でパパパって考えてね。追加オプションと引き換えにそれ提案して、結果相殺ってわけ。ちよー頭良いよね。イケメンで切れ者でほーーんとステキ! それでね、あちらの社長もそうなんだけど、また社員さんが課長のこと気に入っちゃって、周り囲んでなかなか離してくれなくてえ♡……」
それはご愁傷様。話が長くなりそうなので、さくっと切り上げよう。
「田中さんっ!!(強)もろもろ承知しました!!(中)それでサイワイ商事との契約書はお待ちですか?(通常の音量に戻す)」
実はこれはもう坂崎課長からいただいているので、こんなこと言う必要はないが、とりあえず話を切るために。
「え? 契約書? そんな大切なもの、私持ってなぁい。坂崎課長から貰ってない?」
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