営業2課坂崎課長の怪しげな行動 PART2

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「悪いけど返してくれる?」 私が持っていたコースターに手を伸ばし、ピッと引く。レンジくんのコースターは、そのまま坂崎課長の手によって、スーツのポケットに仕舞われてしまった。 「ごめんね、これ集めてるから」 ?? ?? そして課長は男子トイレへと消えていった。 ?? ?? 集めてる? どいうこと? ってか、穢れのない純粋無垢なレンジくんをトイレなんかに持ってく?(←自分的にはかなり有り得ない行為) ……やややいやいや、今はそこじゃない。 (もしかしてもしかすると……課長もファイブレのファンだったりする?) ……ないな。 ただ。 (あんな風にもぎ取っていかんでもいいのに……) 感じ悪。 私はレンジくんを手に入れられなかった悲しみとともに、課長の行動に心底落胆しつつ、なで肩をさらに落として席へと戻った。 * (……嘘だろ) 俺の課長席より見渡すことのできる、この営業のオフィス。 ただ、俺の視線はさっきから、事務の小山田さんの姿に釘付けになってしまっている。 ここから見る小山田さんは、黒縁眼鏡をカタカタ小刻みに揺らしながら、身体をふるふると震えさせている。 (まさか俺がΦブレインのコースターを渡さなかったから……なのか?) トイレから戻り、自席に着く。そしてポケットの中のコースターを取り出して引き出しに入れると、自然と小山田さんの姿が目に入った。 (やば小山田さん、手もめっちゃふるってる) 手がボールペンを求めて、空をうろうろと彷徨っている。だが、無意味だ。小山田さん愛用のボールペンは今、制服の胸ポケットにインしている。 (まるで小動物だな、おいおい大丈夫かよ……) そんなにこのコースターが欲しかったのか?
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