天使の忠告を聞きませんでした

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「痛い……。天哉! 天哉は!?」  亮子が路肩で目を覚ます。 「いるよ」  亮子の隣で俺も座り込んでいた。 「死ぬかと思ったけど」  亮子が俺の肩に両手を置く。 「良かった……。私、何回助けられるんだろう……。もう死んだかもってとき、いつも天哉が助けてくれる……。天哉は本当、不思議だ……」 「ああ、あれだよ。天使の加護でもついているのかもな」  俺らの上でミーシャがふわふわと浮きながら俺を睨んでいる。 「何回君らを助ければいいんだよ。運が悪過ぎなのもそうだけど、天使使いが荒すぎるんだよ……」  ミーシャの忠告は聞かないが、ミーシャのことを絶対的に信用している。確実に死んでしまうような事故や事件に巻き込まれてもミーシャはちゃんと助けてくれる。  だからこそミーシャの忠告は聞かない。誰かが危険に陥ったとき、命をかけて誰かを助けるとミーシャが必死で助けてくれるから。  救急車の音が聞こえる。誰かが呼んでくれたのだろう。 「今日は学校休めるな」  亮子に笑いかけると亮子は突然に涙をこぼす。 「助けてくれてありがたいけど、あんまり無理しないで……。私も悲しくなるから」 「そうだそうだ」  ミーシャが冷やかしてくる。 「悪いけど、助けられるんなら助けるだろ? 俺に後悔はないよ」 「本当、馬鹿」  亮子はボロボロ泣く。  ミーシャは渋い顔をしている。  馬鹿で結構。どうせミーシャはずっと俺の側にいる。危なっかしくて俺を一人になんてできないだろうから。  だからいいんだ。変人扱いでも。ミーシャのおかげで五体無事に何人も救えたんだし、これからも同じことをする。    そう。だから俺はミーシャの忠告を聞かない。ミーシャを信用しているからさ。
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