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血が通っているのか不安になるほどに白い腕を、秀一は覗き込む。
肘の内側、一部の皮膚が赤く爛れていた。火傷のような、蕁麻疹のような、美しい肌には似つかわしくない、痛ましい傷だ。
「何か心当たりは……」
「さて。起きたらこうだったものでな」
「そう、ですか……」
「治してもらえるか?」
無作法な問いかけだ。まだ一目見ただけでは分からない。そう跳ねのけられてもおかしくない質問に、しかし秀一の答えは決まっている。
「ご安心ください」
秀一は顔を上げて、もう数えきれないほど口にしたその台詞を、機械のように吐き出した。
「当診療所の塗り薬で、あっという間に元通り。傷一つない肌に戻れますよ」
村では見かけない、随分と身なりの良い患者だった。
糸のほつれひとつない着物に、合わせられた詰襟のシャツと足元のブーツが、違和感なく洋を取り入れている。
都々はほとんど洋装を見たことが無い。父は白衣に合わせシャツにスラックスという出で立ちだが、母も含めて村人たちはみな和装だ。
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