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ゆっくりと目を閉じる。諦めてしまえば穏やかに心は凪いで――しかし突然、冷え切っていた手のひらにじわりと熱が灯り始めた。
体験したことの無い感覚に、都々はゆっくりと瞼を持ち上げる。不思議と、あれだけ重かった瞼がすんなりと開いた。
(……?)
見ると、手のひらが淡く光っていた。どこか神秘的な光の粒子が、ふわふわと都々の手を取り巻いてゆく。
一体これは何だろうか。都々は幻想的なその光景をぼんやりと眺め、暫くして、違和感に気が付いた。
――傷が、消えてる。
手のひらに刻まれていた無数の切り傷が、光の粒子を纏った先から消えていく。
驚いているうちに光は都々の全身を包み込み、夜が明ける頃には、都々の身体は傷一つない綺麗なそれに生まれ変わっていた。まるで折檻の事実なんて、無かったかのように。
都々自身、この力の正体は未だに分かっていない。都々以外に、光を操る人間を見たことも無かった。
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