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面布越しの不良な視界でも分かるほどの物珍しさに、都々はつい視線を送ってしまう。柔らかな言葉を取りながらも村人に対してどこか高慢な父が、その患者にはやたら丁寧に接していたこともまた、物珍しさの一因だった。
「では……」
秀一が患者を寝台に案内しようとして、はたと言葉を止める。不思議そうに視線を返した患者に、秀一は何故か照れたように視線を逸らした。
「いえ、その、お名前をまだお聞きしておりませんでした。申し訳ない」
「ああ。白と呼んでくれるか」
「白様、ですか?」
「それで構わない」
……父の、重要なお客様なのだろうか。
やりとりを聞くに二人は初対面のようだが、秀一が「様」なんて大層な敬称をつけるくらいだ。他の患者と何かが違うことは確かで、けれどそれ以上の興味は湧かなかった。
ただ、秀一のご贔屓ならば絶対に粗相をしてはならない。いつも以上に集中しなくては。
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