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南美ちゃんが先に帰って、小野寺くんと二人きりになった。
「……早く言っとくべきだった。まさかこんな形で伝えることになるなんて」
彼ははそう言って「ごめん」と改めて私に頭を下げた。
「つーか、タケコさんからとか意外すぎっしょ」
参った、という風に苦笑いをした。
「……結婚したいと思ってくれてるんだ?」
訊ねると申し訳なさそうな顔をしてこんなことを言う。
「迷惑はかけない。嫌なら籍は入れなくてもいいし、それも嫌なら……ほかの方法を考えるし」
優しいんだな、この人は。自分にも相手にも厳しいのかと思ったら。また新たな一面を見つけちゃった。
私はまっすぐ、小野寺くんを見た。そうして、今思うことを、にっこり笑顔で伝えてみた。
「なんでもいいよ」
こだわりなんて、なんにもないよ。
「一緒にいれるなら、私はなんでもいい」
彼の背負うものを知ったからには、少しでもそれを軽くしてあげたい。辛いことは一緒に越えたい。
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