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上着の隙間から突き刺してくるような冷気に腕を摩りながら重い扉を開くと、先ず目に入ってきたのは背の高い後ろ姿。
「バートン、もう来てたんだ」
私が話しかけてもその背中は振り返らない。
「バー……トン?」
覗き込むと、形の良い眉はぎゅっと真ん中に寄せられていて、部屋の中でも身を切るように冷たいというのに、その頬は紅潮していた。
そしてその手のひらには薄黄色と茶色のフワフワの塊。
でも様子がおかしい。
手の中のヒヨコはピクリとも動かないのだ。
「どう……いうこと?」
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