女は腐るほどいる by平田大輔(41)・会社役員

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女は腐るほどいる by平田大輔(41)・会社役員

 小さいながらも会社経営に携わる平田は、同世代より年収が高いこともあり、以前から(すこぶ)る羽振りが良い。  だから若い頃は金に物を言わせ、夜の店でパーっと騒ぎもしたが、四十を迎えると落ち着く方向に転換した。  とはいえただで収まらないのが平田なので、可愛い年下の奥さん(29)を貰った。しかも亭主関白だから、圧倒的に奥さんを支配。  すると入籍後、三日でキレられた!  正に三日天下……今時の若い娘に、ちゃぶ台返しは響かない。  時代錯誤だと非難され、無視され、罵倒され。  半径二メートル以内に入るなと、最終的には言い渡された。  すぐに平田は土下座した。軽い頭、と蹴られる。  それからというもの、妻への贖罪の日々だ。  指の一本も触れられない、そんな生活が続いている。  ただ遠くから眺めるだけ。  主導権は常に妻に握られているが、なんとそれでも平田は別れない。  同世代から羨ましがられ、希望の星と平田が持ち上げられるのは、美貌と若さを兼ね備えた妻の存在があるからだ。  自己顕示欲の強い平田が、これを手放すはずがない。 「えっとアヤは、こないだ離婚はまだかって迫ってきたから暫く放置。  カオリさんは重要な仕事を任されたって話しだから、愚痴聞くついでに俺と仕事のどっちが大事か迫ってやろう。  ミホちゃんはっと」  平田には、女友達が沢山いる。
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