01.契約をかわす

8/10
前へ
 /154ページ
次へ
「ほら、見て!ここがうち!!」 茉昼さんがスマホを取り出して私に画面を向けて、ホームページ上の画面をスライドさせていく。 その画面には、5つ星ホテルとまでいかないけれどパッとお洒落な感じでレビューも悪くない。 そこに併設されているキャンプ場……らしい。まぁ、近年キャンプブームもあったしね。 「自然がいっぱいですね!」 「そうなんです!凄くいい所なんです!緑はいっぱいだし、夜は星も凄いし!!ね、一緒に働きましょう?」 「でも住むところがなぁ、恥ずかしいですが引っ越し費用とかお金もそんな無いしすぐには……」 茉昼さんがフレンドリーな声のトーンで話してくるから、想像して少しだけワクワクしてる自分がいるのも確か。 「んーと、うちに住むとか?」 「えっ、いいんですか!?」 「実はー、うちのお兄ちゃん若い頃に結婚失敗してて。母が凄くうるさいし、父も無言の圧力かけてくるし」 「……え?」 「仕事先も見付かって、住むところも確保できて、望み通り遠くに行ける。それに、お互いの親も安心させられる。これってお互いに利益あると思いません?」 「茉昼!何言ってんだよ!?」 「えー、だってお兄ちゃんも言ってたじゃん!結婚興味無いのに母さんもうるさいうるさいって」 「それとこれとは話が別だろ?今日が初対面の人に何てことを……」 「だって私分かるもん。凄く分かる。誰も知らない遠くに行きたい、逃げ出したい気持ち……」 これは、新手の詐欺だろうか?兄妹とグルになって、可哀想な私を騙す何らかの詐欺。 でも、目の前の茉昼さんが嘘をついているようには見えなかった。

最初のコメントを投稿しよう!

109人が本棚に入れています
本棚に追加
広告非表示!エブリスタEXはこちら>>