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朝…………
隣に眠るお前の背中を、カーテンの隙間から差し込む一筋の光が照らしている。
透き通るような白い素肌に、光が吸い込まれるようだ。
俺はそっと指を伸ばし、少し癖のあるお前の柔らかい襟足に触れた。
世界から切り離された、二人だけの幸せな時間。
ゆっくりと指を動かし、首、背中とその肌を滑らせる。
くすぐったそうに身体を動かし、目蓋を開けるお前。
「……フフ…………なに?」
昨夜の行為のせいで、少し掠れたその声が甘くて、身体がまた熱を持ちそうだ………
「昨日は………初めて見る色だった」
俺は動かしていた指を、背中の一点に留めて言う。
「………初めて?……何色だったの?」
「ピンク、薄いピンク………桜の花びらみたいな……」
「…………いつもは……どんな色?」
「いつもは、雪のような白………あっ、でもだんだんと金色が混じる」
「ふーん」
「どっちも凄く綺麗だけどな……」
俺は指を留めていた場所に、そっと唇で触れた。
「……………ン」
夕べの余韻が残った身体は、些細な刺激にも可愛く反応して………
もっと鳴かせたくなる。
隣に横たわる愛しい人は、俺が愛したせいで空を追われた天使。
大きく羽ばたき自由に空を翔ぶことよりも、俺の腕の中にいることを選んだお前。
人々に愛を届け美しく羽ばたく為の羽は、受けた罰で失った。
「それでも貴方といたい………」
そう言ったあの日。お前の熱く強い瞳を俺は決して忘れない。
初めて身体を重ねた時、俺はお前の背中に小さな小さな羽を見つけた。
俺だけが見えるその羽は、どんな宝石よりも輝いて…………
「夕べは貴方が、焦れったいくらい優しく抱いてくれたから………桜色の羽だったのかも……」
頬を羽と同じように桜色に染めて言うお前が、泣きそうなほど愛おしい。
俺だけの天使…………
神様がくれた宝物…………
起き上がったお前の腕が、ふわっと俺の首に回る。
「………………ねぇ………もう一度」
小さく聞こえた言葉にキスで答え、その身体をベッドに沈めた。
1ミリの隙間もないように身体を寄せ、深くなっていく口づけに、お前の背中が熱を持ち始める。
今日もまた…………
空から降りた天使は、俺の腕の中でその小さな羽を輝かす…………
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