天使の館

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「涼玖、泣かないで…  私まで悲しくなるよ!」 麻緒の言葉に僕は、 「麻緒、本当にありがとう!  麻緒は命の恩人だよ!  僕は自分の命を大切にして、麻緒の分まで生きていくよ!」 と感謝の気持ちを伝えた。 「時間が来たみたい…  涼玖、元気でね!」 こう話すと麻緒の体が光りはじめて、その光は強くなって麻緒の姿は見えなくなった。 その光は、4人の天使にささえられるように舞い上がって、天井で消えてしまった。 室内が暗くなったかと思ったらすぐに電灯が点灯して、元の部屋に戻った。 扉から神崎さんが入ってきて部屋を出て、僕をテーブルのあるソファーに案内してくれた。 そしてコーヒーを1杯出してくれて、神崎さんは扉を開けて奥の別の部屋に入っていった。 僕は涙をぬぐってコーヒーをいただいて、少しずつ落ち着きを取り戻していた。 涙が止まってコーヒーを飲み終えると、僕は立ち上がって奥の部屋の方に向かって、 「すみません!」 と声をかけた。 すると神崎さんが扉を開けて部屋を出てきて、 「落ち着きましたか?」 と優しく声をかけてくれた。 「はい、今日は本当にありがとうございました。」 僕がお礼を言うと神崎さんが、 「お役に立てて、良かったです。」 と言ってくれた。 神崎さんに挨拶をして『天使の館』を出た僕は、まっすぐアパートの部屋に帰った。
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