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本当に月日が経つのは早いものだ。 ロサンゼルスで新婚生活スタート。 身内だけの簡単な結婚式、フロリダ新婚旅行、そして妊娠・出産……。 双子の子育てもバタバタで、カタコトの英語でなんとか乗りきったと思ったら、伊田が追放された翌年に、日本に帰国。 リュウタくんは、ミツハシの専務を経て副社長になった。 私たち家族は、子どもが3人に増えて、毎日バタバタと忙しい。 双子たちがおままごとの延長線上で、理仁の面倒をよく見てくれるし。何かと手伝いもしてくれるので本当に助かっている。 それに、リュウタくんも。 相変わらず…優しくて……。 「イケメンな旦那さんですねー」 なんて写真館のスタッフさんからも、キャアキャア羨ましがられる。 「はい」と即答して、のろけてしまう。 双子たちは思い思いのドレスに着替えて、ポーズをとる。 ひかりはオレンジのパーティードレス。 あかりはピンクのシックなワンピース。 双子だけど、それぞれ趣味が違っていて面白い。 「はい、チーズ」 みんなカメラに向かって微笑む。 しかし…。 「ひーちゃん、わたしのあしふんだ」 「わざとじゃない」 「すごくいたかった」 「そんなふうにいうなら、あーちゃんだって」 「なぁに?」 「こないだ、わたしのだいじにしてたオモチャこわしたよ」 ゴクッと息をのむ。 「……」 姉妹ゲンカ……。 自分の幼い頃のことが、フラッシュバックして戸惑う。 どうしよう。人前なのに。 諌めなきゃ…諌めなきゃ…。 そう思うのにとっさに言葉がでない。 こういうときは、どっちを怒ればいいの? 立ちすくんでいると、リュウタくんが私の肩に軽く触れた。 (大丈夫だよ)というように。 「ハイそこまで。そういうときはケンカ両成敗ってことで、どっちも悪くありません」 「りょうせいばい?」 「へんなことばー」 お互いに、顔を見合せて笑いだす双子たち。 柔らかい雰囲気に変わった。 (リュウタくん…!) 思わず目が潤む。 「ママとパパも、りょうせいばいしたの?」 「え?」 「こないだケンカしてたよね」 「…え、してないよ」 ケンカがほとんどない私たち夫婦。 一体何のこと? 「パパがママのうえに、のっかってた」 「っ!!」 リュウタくんが、慌ててあかりの口をふさぐ。 幸いにも写真館スタッフは忙しそうにしていて、聞かれてなかったけど。 あの夜のことだ……。 寝てたと思ってたのに。 いつから見られてたんだろう。 「あ、あれは……ちょっと転んでママの上に乗っかっちゃっただけで」 そんな言い訳、 勘の鋭い双子たちはきっと信じない。 く、苦しいよ。リュウタくん! 「なーんだ、そうだったんだ」 「パパっていがいとドジだよね」 …信じた!! リュウタくんが私に振り返って、親指を立てる。
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