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 「────ハッ、…ハハッ」  つい空笑いがこぼれ、しかしソイツが己のナカにある情動からだと自覚が  追いつくと顔ぜんたいを手のひらで覆い、くつくつと喉で嘲笑。  脱力して、クックッと引き笑いにも似たモンが口から漏れデルのを  深呼吸で抑止し、屈ませていた上体を立ち起こす。  (────…オモシレエ)  オレは、オレから逃げたがる獲物はとことん詰めてえ性分だ。  生まれてこの方オンナにも性欲にも不自由したコトはねえが、  たまには系統のちがったオモチャでアソンデやんのも悪くねえ。  気だるげに流した目でめっけモンした「鼻子ちゃん」のお粗末な後ろ姿を。  瞼の裏に浮かばせて内心では、せせら笑う。  ────…タイクツだった日常に、  流れ星  みてエな逃げ足で姿を消した  そこそこ風変わりした  オンナ  あいつを見っけた『今日』っつー日を、  オレは生涯、  イッショー忘れらんねえだろう  口もとだけで含んだような笑みを乗せ。  フ、と目尻にも  類同した微笑を仄めかせながら踵を返すと、元来の持ち場にモドるべく。  大きなストライドで街路を闊歩しながら宵の幕を片目に、収めていった────…。
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