12人が本棚に入れています
本棚に追加
「申し訳ありません。ほかを当たっていただくワケには、」
「なんで?」
「はい?なんで、」
・・・・・っですって?
そう心底、不思議そうに片眉をもち上げ小首を傾げる所作を施した彼は、自身が疑問詞を発した
とおり
わたしの発言に、
応えあぐねる回答だ。なんて言う風にうかがえる。
自身の顎髭をごつごつとした指先で撫で、空を仰ぎ、
いかにも、
「わたしの言ったことの意味がわかりません」────…と体現するかのような。
(……一体、何を考えているのかしらこの人)
見つめ返すかぎり何も、考えていない単細胞と言うのか能動性というのか。
クアッ、と欠伸をひとつ、能天気に零すさながら
いまだに、
わたしのことを物珍しげにジト、と見下ろしてくる視線と、気配。
それほど低くはない、女性の平均身長よりは程高めである
わたしよりも、
頭ひとつ分以上ある背丈の男。
、あいかわらず。
その、時代遅れのような逆三角型の黒塗りグラス越しから見下ろされてる感が。
わたしにとっては頗る不愉快以外の、何者でもないのだけれど、
「…巫山戯ています?」
「いたって大真面目ですケド?」
・・・・だったら、今しがた発した切り返しの意図は何なのよ?
「関係はない」と言った口が、今度は「興味がある」だって?
ちょっと可笑しくないでしょうか?
矛盾しているのではないですか?
それとも何か、
わたしがする事・成すことには「関係ない」けれども私自身には「興味がある」と言いたいのか?この、いけ好かない顎髭を生やした
男、
最初のコメントを投稿しよう!