16人が本棚に入れています
本棚に追加
「大津麦。この度あなたは、二十五年の生涯に幕を閉じました」
ああ、やっぱり――。
わたし……死んだんだ。
あんなことがあって、そのまま……。
「しかし幸運なことに、あなたはわたしと出会えましたね」
幸運かどうかは、わたしの感じ方次第なので、勝手に決めないでほしい。
はっ。すみません。ちょっと心がささくれだって、偉そうな口聞きました。心の中でですけど。
すみません、あの……痛いお仕置きとか、されますか……?
「あなたをこれから、第二の人生にご招待いたします。わたしは変換の女神。死に際の後悔を、次の人生に持ち越すことのないよう、力に変換して授けましょう」
カランカランと、鐘が鳴る。
聞き覚えのある、そしてわたしを苛む鐘の音だ。
ああ、やっぱり幸運なんて大嘘だ。これが大当たりだって言うなら、きっとこれから起こることもろくでもないことに決まっている。
最初のコメントを投稿しよう!